□第25回大会(2014年11月29日〜30日)
  於:群馬大学


【講演】 批判的思考指導の理論と実践

批判的思考(critical thinking)の育成は、PISAや21世紀スキルといった学力をめぐる国際的な動向の中で注目されている。それは、教育学はもとより哲学、心理学、経営学等さまざまな分野においても研究が進められてきた。本講演ではまず、アメリカにおける研究を中心に、批判的思考の概念や指導原理について整理する。また、批判的思考の指導方法についても、教材や実践モデルを中心に分析する。さらに、日本における批判的思考指導について、筆者の関わった実践研究や今日における事例について取り上げる。これらをふまえて、これからの学校教育における資質や能力の育成方法や課題について考察したい。

講師:
樋 口 直 宏 氏(筑波大学)

司 会:
大 津 悦 夫(立正大学)


【課題研究】 教育評価再考 ――豊かな子ども、教師、学校へ

 到達度評価は、歴史的役割を終えた過去のものとされ、これを引き継いで現代の教育実践を切り拓くのは「真正の評価」であるとの見解がある。そして今や「真正の評価」を具体化するものとされるポートフォリオ評価やパフォーマンス評価が文部科学省内の検討委員会等を通して教育現場に大きな影響を及ぼしている。しかし、到達度評価は、教師たちの多様な教育方法上の工夫を促し、その過程で教師たちによる教育実践研究の蓄積をもたらしてきた。さらに、「到達度評価は生活綴方の正系の嫡子である」(中内敏夫)という見解は、到達度評価の水脈の底深さを示唆している。
 私たちは、到達度評価の原点に位置づく、1970−80年代の京都府教育委員会や京都府教育研究所の動きをも視野に入れて共同研究を進めてきた。しかし今回の発表においては、問題提起を意図して次の4点に絞って報告する。(1)活用力等の「新しい能力」を、到達度評価論の習熟論としてとらえ直す試み、(2)生活綴方に学ぶ到達度評価の可能性、(3)本学会で3回にわたって行った故遠藤光男への公開ヒアリングのテープおこし(「その1」のみ学会紀要第9号に発表)、(4)遠藤とともに草内小学校で到達度評価の実践研究に取り組んだ森雅美のレポート指導実践の意義。

報告者:
習熟論再考
小 林 千枝子(作新学院大学)

生活綴方から到達度評価へ
平 岡 さつき(共愛学園前橋国際大学)

京都府教委総括指導主事・遠藤光男氏に聞く
 ―公開ヒアリングその1〜その3―
小 林 千枝子・平 岡 さつき

森雅美のレポート指導の実践       
平 岡 さつき・小 林 千枝子

コーディネーター:
小 林 千枝子(作新学院大学)

司 会:
河 原 尚 武(近畿大学)



【公開シンポジウム】 今、教育関係者に求められる評価リテラシーとは

  「評価」という名称で集められる多様で大量のデータの結果が、多くの国々で教育実践に強い影響をもたらしていることは周知のとおりである。しかし、どのようにデータが集められ、解釈され、決定がなされるのか、そのプロセスについて批判的吟味がなされないと、「評価結果」に教育関係者が翻弄されるだけになってしまう。教育関係者が、評価データや評価の枠組みを主体的に読み解き、自己の教育実践に活かすためにはどのような「評価リテラシー」が今求められるのか。

シンポジスト:
今、教育関係者に求められる評価リテラシーとは
  ―教育心理学をもとに−
山 口 陽 弘(群馬大学)

今、教育関係者に求められる評価リテラシーとは
  ―教育社会学をもとに−
山 田 哲 也(一橋大学)

今、教育関係者に求められる評価リテラシーとは
  ―教育方法学をもとに−
八 田 幸 恵(大阪教育大学)


司会:
山 崎 雄 介(群馬大学)
鋒 山 泰 弘(追手門学院大学)