□第31回大会(2020年12月12日〜13日)
  於:ZOOM(主催校:宮城教育大学)


【課題研究】 
生活綴方・作文教育における教育目標・評価論の展開
  ――作品批評をめぐる議論と実践の諸相――

  本課題研究では、生活綴方・作文教育における教育目標・評価論の展開について、特に地域のサークルや実践家による作品批評に関する議論と実践の諸相をてがかりに、その特徴を明らかにすることを試みる。生活綴方・作文教育に関する全国規模の民間教育研究団体として日本作文の会があるが、生活綴方・作文教育の地域サークルや実践家と全国組織との関係は様々であった。特に、日本作文の会が1962年度活動方針案によって、生活指導の重荷を下ろし、国語科文章表現指導に力点を移し、指導段階の定式化を進める方向へと舵を切った一方で、こうした方針から距離をとったサークル・実践家も少なからず存在した。
 本課題研究では、これらサークル・実践家の作品批評をめぐる議論と実践に注目し、生活綴方・作文教育の多様な目標・評価論を浮かび上がらせたい。特に、子どもの表現を教師がどのように読んだかが書かれた教育実践記録や、子どもや保護者らへの批評の言葉が掲載された文集、実践家の語りなどから、彼らの作品批評の特徴や変化を明らかにすることを試みる。
 フロアとの議論を通じて、生活と認識と表現の指導、子どもの実生活に根ざした表現指導等の目標と評価の展開、作品批評と自己形成について深める中で、現代の「表現力」「学びに向かう力」についても示唆を得たいと考えている。

報告者:
東井義雄における作品批評の展開
 ―生活綴方の目標論における共同性をめぐって
前 田 晶 子(鹿児島大学)

1970年代における大阪綴方の会の作品批評
 ―綴方教師の鑑識眼に着目して
永 田 和 寛(愛知県立高校)

生活綴方・作文教育における作品批評と生活・表現・集団
川 地 亜弥子(神戸大学)

指定討論者:
後 藤   篤(奈良教育大学)

司会:
河 原 尚 武(元 鹿児島大学)
平 岡 さつき(共愛学園前橋国際大学)

コーディネーター:
川 地 亜弥子(神戸大学)


【意見交換会】
コロナ禍における教育目標・評価のあり方

三か月にも及ぶ休校が明けて、すぐさまテストが行われ、それは学習の遅れの回復のための診断的評価としてのみならず、成績付けの資料として活用される状況も見られた。また、密を避けながら、場合によってはオンラインも併用しながらという状況で、知識・技能のみならず、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度をどのように評価すべきか、苦慮している学校も多いだろう。さらには、家庭学習で履修済みとみなすかどうかも含め、授業を進めて時間数を回復することよりも、学びの成果で履修を考えていこうという修得主義の考え方へのシフトも叫ばれるようになっている。そこで、この意見交換会では、コロナ禍において教育目標・評価に関して生じている実践的、理論的課題を整理し、話題提供を行った上で、それぞれの現場の困り感や取り組みについて自由に交流したり、意見交換したりする機会としたい。特に、ICT活用と相まって新たなキーワードとして浮上している「個別最適化された学び」について、その可能性と危険性の両面から議論を深めたい。


話題提供者:
木 村   元(一橋大学)
石 井 英 真(京都大学)

司会:
斎 藤 里 美(東洋大学)

コーディネーター:
石 井 英 真(京都大学)


【シンポジウム】
 「教員養成学」をいかに構想するか

 全国の教員養成系大学・学部では、教職大学院の新設・改組の動きと合わせ、教職の力量向上が要請されている。教育の科学の知見に裏打ちされた「教員養成学」を、大学の研究領域としても、学部・大学院・現職教育向けの内容としても構想していかなければならない。
 本シンポジウムでは、全国に先駆けて、東北地方における教員養成学を構想・展開している大学の取組みを紹介する。次に、教科専門、教職専門、教師が共同して教科内容・教材研究の力量を高める取組みに着手している宮城教育大学の取組み、附属小学校との共同研究の様子を紹介する。
 大学が発信源となり、教育に関わる理論に裏打ちされた教員養成の学を構想する道筋を参加者と確かめていきたい。

シンポジスト:
東北地方における「教員養成学」の取組みの展開と現在
福 島 裕 敏(弘前大学)

宮城教育大学における「教授学」の伝統を「教科内容学」構築に生かす
吉 村 敏 之(宮城教育大学)

授業における「事実」からスタートする教育実践
三 井 雅 視(宮城教育大学附属小学校)


司会・コーディネーター
本 田 伊 克(宮城教育大学)